ボーイズ・ドント・クライ

キンバリー・ピアース監督作品(知らん)。
映画好きの木下率いる内向的ロックバンド、art-schoolのライブアルバムと同じタイトル。
薄暗い映画が見たくて、これを借りてみた。
案の定内容はどんと暗い。

最初の一時間は、アメリカチックのベタベタなラブストーリー的内容が続く。胡散臭くトントン拍子で二人の間が親しくなっていく。非常に退屈な一時間。
それに耐えるといきなり事態が急転し、クライマックスを迎える。ここからの一時間、ずっとクライマックスと言っても過言ではない。過激で、激しい内容が続く。。。そして信じられぬラストへ。

サンドバッグのごとく、ボコボコに打ちのめされていく主人公。これでもかこれでもかと、残忍残酷のフルコースを味わう。これも全て、両性を持ち合わせる生まれつきの障害ゆえ。もし彼が男に生まれていたらと思うとやるせない気分になってしまう。

女だとわかった瞬間に変わる周囲の態度。生々しい。
この障害のない自分は、何て幸せなんだと思った。人と比較して幸せだと思うなんて最低な自覚の仕方だと思うが、実際にそう思わせるだけの力はある。

最初から、主人公が女だということがわかっているところが、ちょっと残念だった。もし女だとわからなければ、判ったときの衝撃が大きく、個人的には好きな感じ。

主人公の心に闇はない。とりまく闇は、周囲が作っただけに過ぎないと感じた。

この映画は本当に激凹みする。
この手の映画は、必ず親子の会話がなくなるようなシーンが山ほどある。したがって家族で見る事はお勧めしない。