タイ@バンコク

バンコク経由で昆明に行くチケットを買った。乗り継ぎが悪く、着いた翌日に昆明へと出発する。
当然、バンコクでストップオーバーを1週間位するというのが定石だ。
けど僕には時間がない。
タイなら何時でも行けると思い、ぐっと我慢した。

そこで、空港で一夜明かすこととなったのである。

眠気眼で座っている僕の傍に、歳の齢60位なる老夫婦2組が座ってきた。話を盗み聴きするところによると、ミャンマーへツアーで行ってきたらしい。そして彼らは東南アジアはほとんど制覇したとのことである。
旅人ぶった若者ではなく、目の前に座る何気ない日本人夫婦が。

彼らは日本では特殊な人間に当たることだろう。まわりの人からは「何でまたミャンマーに行くの?」なんて言われながら、さぞかし変態扱いされていることだろう。
そう彼らは日本からみれば、特異な人たちであるはずである。

けど、そんな彼らの隣に座っているのに、僕との間にベルリンの壁以上の如く距離があるのを感じてしまった。
バンコクの空港をテクテク歩いている日本人の高校生とではなく、旅行好きっぽい人とである。

その瞬間、日本社会になじめなくなってしまうのではないかという恐怖が脳裏によぎった。
今独りであることを気取っているように、日本でもそうしたくないのにそうなってしまうのではないかと。

トイレの鏡で僕の全身を見た。見るからに怪しく小汚い。
こりゃ浮くわけだ。