駅弁

越後湯沢から石川の七尾へ向かう電車の中、「ます寿司」という駅弁を購入した。

値段1100円。昼ご飯を100円のメロンパンで誤魔化す生活を続けていた身にとって、なんてリッチなランチだろう。
以前にどこかで食べたことがあるので、味も予想通り、予想を裏切らず期待のものがついてきた。
雪景色を眺めながらそこで流れる音楽は、くるりの「赤い電車」。(向井秀徳の妄想処方盤風)
リラックスした状態で時間がノホホンと過ぎていく。

お弁当。
手作り弁当は特別な趣がある。運動会の時のそれに代表されたり、愛妻弁当だったり。
しかし、購入するお弁当はどうか??正直そこにはわびしいイメージしかない。

20歳大学生。名古屋からはるばる東京へ上京してきて一人暮らしをしている。
時間は夜の11時。
バイトから帰りがてら、黄色く光るホカ弁屋で、今日もいつもの唐揚げ弁当を買う。誰もいない、ガランとした肌寒い部屋。背中丸めてテレビを見ながら食べるその味は、しょっぱかった。その時流れていた音楽はサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。

ところが買うお弁当の中でも、この駅弁というのは勝手が違う。そこにはワクワク感や、ちょっとした贅沢な気分を味わうことができる。それと同時に電車の中で食べるので、嫌でも旅情を味わうことができる。
だから、僕は駅弁が好きだ。

高くて、よっぽどのことがないと買わないんだけどね…