阿修羅ガール

asyura
作者は舞城王太郎
三島由紀夫賞受賞作。
以前友人に彼の作品が面白いと聞いたので、とりあえずBOOKOFFの100円コーナーで購入し読むことにする。

タイトルがナンバーガールっぽくて、好感が持てる。恐らく作者もそれを狙ったんだろうなんて思った。

今時の女子高生っぽいけど、我々大人が所詮妄想するに過ぎない、ごく普通のテレビっぽい子が主人公。彼女が事件に巻き込まれ、不思議な世界を右往左往するというのが大筋。

ポップなスーパー口語っぽい文体で物語が繰り広げられていく。そこには正直、やっちゃった感が漂う。これは読んでも何も得られないと思った。
物語もイエローサブマリン的な無茶苦茶な展開を見せる。けど、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」っぽいななんて思った。

しかし読み進めていくうちに、案外深いことを言っていることに気が付く。そして最後、支離滅裂に思われた物語が一気に収束していくところは圧巻。
「なるほど、阿修羅ガールとはこんな意味だったんだ」なんて思う。決してノリだけでつけた悪いタイトルではない。

読みやすくて新感覚。21世紀的。そんな小説なのだ。
インテリグッズとして文庫本を、パフォーマンスの一環として電車の中で広げることが多いのだが、正直これは恥ずかしかった。。