山椒大夫

溝口健二監督作品。本日ガーデンシネマの特集上映で観てきた。
僕にとっては初溝口。震えるような大感動。


勝手なイメージだが、白黒映画で時代劇チックなものに、かったるい印象を抱いていた。退屈で全然テンションの上がらないイメージだ。よって、溝口作品も評判では良いと聞いていたものの、何となく避けがちになっていて、今まで一本も鑑賞していなかった。
始まってから5分くらいは何となくダルく、別の世界へ連れて行かれそうだったが、そこから先は鬼の集中力を発揮させる程の傑作だった。


僕の感じたこの映画のテーマは奴隷解放と家族愛。地獄同然の主人公の人生模様から描き出す。
日本人である自分の琴線をチクリチクリと刺し廻すような感じだ。


安寿という名前の女の子が登場する。どうしようもない世界に生きているのに、心がくすまないその姿は感動を誘う。


人間はどう生きていくべきなのかを教えてくれた。慈悲だよ慈悲。慈悲の先から人生が見えてくる。青二才が慈悲なんて言葉を使うのはおこがましいけど、酔わない自己犠牲のもと他者のために何かをすることは美しい。


22歳という若い年齢でこの映画を観られたことを嬉しく思う。