ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序


9月1日。公開初日に観に行った。
バウスシアターの2Fのチケット売場周辺が、モッシュピットかと思う程混んでいて、観る気がなくなった。
公開より一週後、諦めずに新宿ミラノ座へ足を運んだ。

新宿ミラノ座はここ数年で行った映画館のうち、最大規模の劇場で、何かテンションが上がる。しかも満員。映画でこれだけの集客できるという事実に、感動する。
話題作を観に行ってもどこもガラガラ。映画はもうだめだと思っていた。


観客は僕も含めて、当時の碇君だった人々で埋め尽くされていた。エヴァンゲリオンは所謂オタクに支持された映像作品ではなく、自我の芽生え始めた少年達に支持されたんだと思った。
物議を醸した心理学用語や隠喩の数々は、後付けで話題になったに過ぎず、その当時の少年少女の関心は、そこに相似関係にある自分がいる可能性だったんじゃないだろうか。


機体のデザインが変わったとか、武器が変わったとか、映像が綺麗になったとか、そんなことに興味はない。興味があるのは、碇君の心象風景。TV版よりも蝉の鳴き声が減った。今年は蝉が少ない気がする。


「だってあの頃に観たこの映画に、
”少女”なんていなかった。
ただただ自分と同じ、
等身大の女ン子がいたんだよ、
あの頃は。」
魚喃キリコ「キャンディーの色は赤。」)