食と米

学食で一人寂しく夕飯を食べていると、どこからともなく大男がやってきた。

その大男は一年下のサークルの後輩。そんなことはどうでもいい。

で、彼のお盆の上には大皿(山盛りの野菜、溢れんほどの肉、一切れのハンバーグ)と納豆と豆腐が乗っかっていた。米と相性の良さそうなものが沢山あるのにもかかわらず、不思議と米はない。小食の人ならこの現象に納得いくのだが、彼曰く「全然小食じゃないっすよ」。

彼はご飯を頼むくらいなら肉や野菜を追加した方がいいという考えで、ご飯をチョイスしなかったとのこと。ここで僕はびっくりした。日本の食は米をベースに成り立っていると思っていた。ご飯がなければおかずが食べられないものだと思っていた。その価値観が揺さぶられた。

彼は米もおかずの一品という感覚をもっているらしい。つまり、サラダと肉とハンバーグと豆腐と納豆と同じ優先順位を米に与えているのである。だから彼にとって、米を選ばないことも極普通のことであるわけだ。

自分の価値観が揺さぶられて、新しいものに触れるというのはこの上なく面白いものですね。