カナリア

塩田明彦監督作品。
「害虫」のときと同様に、音楽はzazen boys(旧ナンバーガール)。
ネタバレあり。

オウム真理教まがいのカルト宗教団体「ニルバーナ」から社会復帰をしようとする男の子と、大人から見たデフォルメ現代女の子の話。男の子と女の子は社会からも宗教からもドロップアウトして、一応ハッピーエンド。
カルト宗教も一つの現実、今普通に我々が生きる社会も一つの現実。そこに差があって、そこに絶対的な価値などがあるのかって言うのが主題。宗教側から見れば社会は悪、社会から見れば宗教は悪。で、両方の生々しさに触れた観客から見れば両方悪。

正直な感想としてはイマイチだった。やはり深く踏み込めなくて、所詮外部の人が描く偽りのカルト宗教団体だったのかなって。映画っぽく、微妙な心理面での突っ込みがあるのかと思えばそうでもない。
「A」「A2」を見たほうがいい。

小学生with携帯電話=暴力、生々しさ。無知な子供が不特定多数と交わるツールを常に持ち歩くと、それだけ現実に触れてしまう。現実とは向井秀徳の言う
新宿三丁目の平和武装
片目がつぶれた野良猫が発する体臭や
堕胎手術や
30分25000円の過ちや
陰口叩いて溜飲を下げとる奴らや
徒党を組んで安心している奴らや
さりげなく行われるURAGIRIや
孤独主義者のくだらんさや
自意識過剰と自尊心の拡大や
気休めの言葉や
一生の恥や
投げやりや
虚無や
くりかえされる諸行無常や」

何だかんだで、この映画は「自問自答」に集約される。