サマリア

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キム・ギドク監督作品。
ベルリンで監督賞をとったとのこと。

この映画を見てから、2時間は凹み続けた。僕の好きな映画というのは、何かしら気持ちを揺さぶってくれるものだから、その点においては素晴らしい。

3部構成になっている。その中でも最も良かったのは1部目。
高校生の少女のどうしようもない孤独感をヒシヒシと感じてしまった。二人で遊んでいるシーンでは静寂を保つ。このシーンだけで1時間半の映画を構成していたとしても、僕は満足だったかもしれない。空間に流れる哀愁がたまらない。
体を売ることで、一時の幸せを味わう。そこに罪悪感はない。

2部目は正直イマイチ。主人公が父親に変わる。
恐らく自分自身が父親という立場でこの映画を観たのなら、素晴らしく共感できたりしたのだろう。けれども客観視してしまって、その世界に入り込むことができなかった。映画館内では嗚咽の声が聞こえる。
ありがちな展開だななんて、冷静に思ったりした。

この映画は今見るからこそ価値がある。プリクラや携帯電話が登場する。時代を一つ象徴するものだから、陳腐化が早い。10年後に観たらどうしても独特の古さが際立ってしまう。だって映画の中でポケベルとか出てきたら幻滅じゃん。

この映画、僕は好きだ。感じたことを、どこまでも引きずっていきたい。
カナリアよりサマリアです。