ポーラX

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レオス・カラックスの一番新しい作品。
オールナイト上映につきスクリーンで見られるというので、わざわざ土日を犠牲にして見に行ったさ。

実にいたたまれない映画。目も当てられない。
得たいの知らないペテン師っぽい女に手を出してしまったがために、全てを失う。地位も金も婚約者も親戚も。
ドンドン落ちぶれていく光景は、フランス版の斜陽とでも言ったところか。

「誰かここから出してくれ」
そんなメッセージを感じた。「汚れた血」と同様に。
今度は逆に貴族の立場で。

最後のシーンは圧巻。
飛び散るガラス。
スローモーションからクイックモーションへと走り出す姿。

フランス映画を見るたびに、フランスって貧しい国なのかなって思う。映画に出てくる人は、貧乏人が圧倒的に多い。「ロゼッタ」にしろ、「カノン」にしろ、「ポンヌフの恋人」にしろ。
てっきりフランスってお金持ちな国だとばかり思っていた。
フランス料理といったら高級料理の代名詞で、おフランスなんて言われるくらいだ。
けど、映画から見るフランスはそんなことはない。

「臭い」
このセリフが一番心に残った。「豚め!」みたいな意味なのか。
そんな目で言わないでくれ。

オールナイトの最後に流された作品なのに、全く眠くならなかった。それだけ、力があった。
けどアレックス3部作の方が好みだな。