ストーリーテリング

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トッド・ソロンズ監督作品。
監督に興味があったというよりも、サントラがベルセバで、そっちに興味を持って観た感じ。
初アルバトロス。

買ったはいいけど全然聴いていなかったアルバムが、この映画のサントラ。この映画を観終わった後に、久し振りに聴いてみたら、なかなかいいアルバムに思えるから不思議だ。途中に挿入される映画のセリフがかったるくする原因の一つだったと思われるが、そのセリフがシーンを思い出させる。

この映画は2つの物語からなる。「フィクション」と「ノンフィクション」。
対になっているように見えるが、僕の目からはその関連性を見つけることができなかった。それぞれ独立した話だと思っていいのではないだろうか。

一言で感想を言うなら「グロテスク」。
ホラー映画の様に、血や肉が飛び散るバイオレンス系のグロテスクさではない。もっと精神的なところを攻め立てる感じだ。
主人公の高校生がドキュメンタリー映画の主人公になる。完成した試写会で、その主人公がクライマックスで夢を語る。勿論観客は固唾をのんで見守る感動のシーン。しかし、会場内は笑いに包まれる。勿論主人公は面白いことなど言っていない。そこに生々しさを感じた。
子供が登場する。彼は尖ったセリフを疑いもなく連発する。そのセリフ一つ一つが、これがまた生々しいのだ。

ちなみにこの映画はR15で、「完全無修正版」と堂々と書いてある。正直、こういう表記の仕方はどうなのかなって、いつも思う。
表象文化論という授業でも言っていたのだが、映画にモザイクをつけると、そういうことを意図してとったわけでもないのに、妙な卑猥さが出るのだと。恐らく、モザイクという普段我々の眼にしている世界とは違う違和感からそこが引き立つのだろう。それと同様に「完全無修正」とかつけると、そこだけ変にデフォルメされて、作品が歪む。
とりあえず、R15も「完全無修正版」も、そんな風に書かないで欲しい。