人間失格

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太宰治作。
人間失格」を読まずして何を語れるかということで、読んでみることにする。
解説によると、太宰治の自伝的内容とのこと。
幼少の頃からの歪んだ性格をずっと引きずり、自殺に至り、アルコール・薬物漬けにまで破滅して行く様を描く。

本って相性があると思う。皆がどんなに面白いと言っていても、つまらないと感じている人もいるはずだ。逆もしかり。
で、僕は太宰治と大変相性がよろしかった。
普段、読書するときにいらぬことを妄想することが多い。ただ集中してないだけって話だが、その妄想に結構悩まされている。ふとしたきっかけで別のことを考え出し、気がついたらただ文字を追っているだけ。
そんな悩みを抱えながら「人間失格」を読んだのだが、僕の豊富なイマジネーションに物語を遮られることはなかった。まさに夢中になって一気に読んでしまった。

主人公は、根暗日本代表みたいな人物だ。同時に現代っ子的で、彼はいい子を演じている。斜陽し、破滅してく。
こんな設定、そそられる。主人公が根暗だと一気に面白くなるのは何故だろう。
以下持論。
そもそも、こんな本を手にし読む人は、少なからず共通の薄暗い一面を持っているかと思われる。その一般性のある、読者の誰にでも心当たりのありそうな一面が、ものの見事主人公とシンクロ。その瞬間に読者は主人公として物語にトリップする。そして、読者諸君の日ごろ果たされない欲望である破滅願望を充足させてくれる。。
勘違いされそうなので弁解すると、僕は決して危ない人物ではないのでご安心を。

人間失格」は面白いので是非読んでみてくださいませ。
「桜桃」という短編も同時収録だが、こちらは面白くもなし。