ボリビア4@オルーロ

時間と金銭的余裕のない僕らにとって、今日が祭りの最終日。
駅へ向かう途中、財布を盗まれた。


この日は踊りたいテンションよりも、水風船を当てまくりたいテンションが勝り、そちらに参加。気持ちよく投げまくっていると、ネットカフェへ行っていた友人が水を差すかのように現れた。
「財布盗まれた」


楽しい気分が一転して重苦しい雰囲気になる。ただ僕は酒を飲みすぎていたため、申し訳ないことに空気の読めない子になっていた。
急いで宿へ戻り、今後の方針を立てる。


彼は保険の都合上警察へ行くといっている。現在時間は4時。僕らの電車は7時頃発車する。全員行ってもしょうがないので、彼だけ警察へ行き、6時までに帰ってこなかったら彼の荷物を持って駅で落ち合おうということに話はまとまった。


待つ。6時になれども帰ってこない。そこで僕らは合計3人分の荷物を背負って人込みの中、駅へ徒歩で目指した。
飛び交う水風船とやたら飛距離の出るシェービングクリーム。バックパックを背負っている人間を狙うのは、どう考えても道徳的におかしい。だから彼らも狙わないだろう。そんなことを打算的に考えていた。


人込みとだけあって、普段通り順調に足は進まない。時間は6時半。カーニバルの道路を横切る最後の交差点。一段が去るまで警察の静止のもと、足を止める。だがなかなか進まない。焦る。


そんな折、僕のメガネにシェービングクリームが見事命中した。してやったり顔のオヤジ。
この瞬間、頭の中で何かが切れた。オヤジの髪の毛を思わず掴んだ。人の髪の毛を掴むなんて何年ぶりか。日本語で、怒鳴る。殴りそうになる。
そんな僕を見て、友人はあわてて静止。
「そんな奴放っておけ。」
周りの人々も空気が変わったことに気がつく。


しかし今度は背後から主婦っぽい人が、またもや目玉をめがけてシェービングクリームを浴びせかける。イライラは募る。カーニバルの一行は去らない。ラッシュアワー並の人込み。


ふとしたことで、財布に注意を払う。


ない。


紐が途中で切られ、だらりとズボンからぶら下がる。


損失:US8ドル、国際学生証、マイレージカード、財布