パレード

パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)

吉田修一著。
会社同期のお薦めとのことで、借りてよんでみることにする。


とても東京的な、都会的な匂いのする作品だと思った。
隣人の占い師も他人で実態がつかめなければ、同居している5人も実態のつかめぬ見知らぬ人々。わかっているふりして、結局付かず離れずの距離を保つ。その姿は東京の風景と酷似している。


この作品は5章に分かれていて、それぞれの章によって一人称が変わる。その構造がとても面白かった。
一人称が変わってくれたお陰で、誰がどのようなことを考えているのかということを、等身大で掴むことができる。私生活を覗き見する楽しさがあった。
現実の世界も、こんな小説の世界のように、人のことが容易にわかればいいのにと思った。