Metaphorical Music

Metaphorical Music

Metaphorical Music

2005年10月、インドのアムリトサルで一人の日本人と出会った。彼もその時大学生4年生。来年に就職を控え、バックパックを背負ってインドへやってきたのだという。


彼とは不思議な縁で、ほとんどスケジュールが同じだった。一度ダラムサラで別れ、偶然カジュラホの寺院でまた再会し、共にインドネパールの国境を通過した。そしてそのままネパールから中国へ飛ぶまで宿をシェアしあった。


彼はヒップホップのDJをやっているのだという。音楽プレイヤーを持っていかず飢えきっていた僕は、すがる様に彼の持っていたiPodを聴いた。彼が一日に一回は100均で買った音の割れたスピーカーから流す曲があった。僕も気に入り、誰の曲か聞いたが、すぐに忘れ去った。だが心に引っかかって、気になっていた。
そんなカトマンズは現在外出禁止令が出ているらしい。


そして2006年1月。友人のKと共に、渋谷にあるゼミの後輩お薦めのカフェに入った。日本にいない間に起こった出来事を説明してもらっていると、突然聴き覚えのある曲が流れた。インドネパールで聴いたその曲よりも、思い出と上手く絡みあったカフェで聴いたその曲の方が遥かに心に響いた。
「これなんて曲ですか?」
ってお店の人に質問しようかと思ったが、何か恥ずかしくてできなかった。これでまた迷宮入りしてしまった。


で、同年4月。弟の部屋に入ると、ネパールで教えてもらった、うる覚えながらも聞き覚えのあるミュージシャンのCDがあった。それを迷わずかけると、例の曲が流れはじめた。
それはこのアルバムの3曲目だった。
通勤ラッシュの電車内、僕は軽く思い出の中で生きている。