ナム・ジュン・パイク展@ワタリウム美術館

以前原美術館に行った時、小さなカラーテレビが幾何学的に配置され、違う映像がガツガツ流される展示物があった。古臭い癖に、何故か新鮮で、見とれてしまったのを覚えている。
その作者の名は、ナム・ジュン・パイク


彼の作る映像は正直ダサい。プレミアに入っている、絶対に使わないようなエフェクトをガツガツ使う。素人っぽさ全開の映像だ。
しかしここまで徹底的にやられると、それが逆に妙にサイケな映像に映る。その映像がいくつもの連続して配置されたTVに映し出され、怪しさに拍車をかける。音楽に例えると高速のミニマルと言ったところか。


中央アジアの民芸品と共に、いくつものTVを置いて中央アジアの映像を流す作品が面白かった。TVは手拭いやティッシュペーパーと変わらず、何でもない日用品なんじゃないかって思った。
TVとは家庭の中心にある数少ない道具で、珍重され、神棚のように奉られ、家族はそこに群がる。芸能人に例えるとスマップ的存在であると思っていた。しかし民芸品に混ざって沢山のTVが並べられると、所詮一つの生活用品に過ぎないんじゃないかって思ってしまう。


TVの画面が外され、枠だけになった中に、植木鉢に生える木を入れた展示物があった。どっかでパクろうと思った。


入場料千円で期間内は何度も入れるらしいので、また行ってみようかな。

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というのもこの美術館の地下にある喫茶店が良い。
休日の昼間に行ったのに、客が僕しかいなく静かだった。椅子も厚手の座布団的なものが敷かれていて、座り心地もなかなか。内装も落着いた雰囲気で、プラスチック感が無くて、くつろいで本を読むことができる。
しかし、地下のため自然との融和が図られていなく、究極的にリラックスした状態は作り出せない。都会でそこまで求めるのは間違いだが、ここの喫茶店は大変レべルが高し。