魔女(五十嵐大介著)

魔女 第1集 (IKKI COMICS)

魔女 第1集 (IKKI COMICS)

魔女 2 (2) (IKKI COMICS)

魔女 2 (2) (IKKI COMICS)

渋谷のブックファーストの特集コーナーで初めて五十嵐大介の存在を知った。絵が非常によろしくて購入しようか迷ったが、好きでたまらない魚喃キリコの新作「キャンディーの色は赤」を安全牌として切った。
その後、地元の本屋に立ち寄るとブックファーストと同じく五十嵐大介の特集を行っていた。
読みたい漫画がなく、無目的にフラフラと立ち寄っただけだったので、試しのつもりで「リトルフォレスト」を買った。
脳に傷を負わせるようなビリビリしたストーリーを近頃渇望していたが、この本にはストーリーらしいストーリーはなく、ただ穏やかな田舎での時間が描かれているだけでだった。その漫画を読むことで開眼することはなかったが、心が満たされたし、絵の素晴らしさに矢張り心を打たれた。
長い前置きだが、もっと彼の絵に触れたくて「魔女」を買った。


非現実的な御伽噺のような魔女にまつわる短編集。「風の谷のナウシカ」を読んでいるときと同じ気分になった。
ぶっちゃけこの手のストーリーは苦手。絵を見るためにストーリーを読む。コマとコマの連続を味わうのではなく、コマ単体を切り取って眺める。
漫画は絵だ。


「魔女」を呼んで絵の素晴らしさだけでなく、彼の紡ぐ台詞についても味わい深いことに気付いた。例えばこんなことを書いていた。
「風はとってもイヤラシイでしょう?」
「ホントだ。体中さわられてる。風の見えない手に強くなでまわされている。」


良いぜ。五十嵐大介