イラン5@シーラーズ

4ケツした。

シーラーズにはペルセポリスという超有名な遺跡がある。しかし街から離れていてちょっと行きにくくなっている。更にそのそばにはもう一つネクロポリスとか呼ばれている遺跡があって、そこまでは壊滅的に行きにくくなっている。
で、ツアー会社を訪ねたわけ。20ドルという法外な金額を提示され、交渉すらせず却下。
そんなわけでバスとタクシーを駆使して自力で行くことにしたのだ。

ペルセポリスまでは結構あっさりいけた。で、折角ここまできたのだからネクロポリスも見ようと欲がでた。その距離約6キロ。ペルセポリスの前に溜まっているタクシーと交渉する。この距離だと0.5ドル位が妥当と踏む。

「いくら?」
「20000リアル(約2ドル)」
「高い。安くして」
「10000リアル(約1ドル)」
「5000リアルなら乗るよ」
「NO!」

案の定、人の弱みを握って吹っかけてくる。日本円に直すと物凄く低レベルな争いだが、ここイランではその金額で生死を分ける。簡単には譲れない。
どのタクシーと交渉しても同じ。ボッタクリ具合に頭にきて、6キロ歩くことを決意した。2キロ位行けば幹線に出るし、疲れたらそこで拾えばいいと思って。

暑い中、案外足取り軽く幹線まで出る。タクシーは思ったよりも通り過ぎない。待っていてもラチがあかないと思い、歩きながら捕まえることに方針を変える。通り過ぎる車の数々。相変わらず僕の方を向いて、手とか挨拶とかしてくる。にこやかに答える。
すると、水を垂らしながら走る謎の車が停車した。このシチュエーションはまさか…
甘い期待が胸によぎり、ダッシュでその車へと向かう。
「乗ってけ!」

ありがたく乗せていただく。原付の群れを追い抜かし、彼らがこちらの方向を見る。なんだか驚いているみたいだ。そして運転手さんは満足げ。
曲がり角まで乗せていただき、ネクロポリスまであと2キロと迫った。

降りた瞬間、先ほどの原付3ケツがこちらに来る。
「後ろに乗りな!」
これは夢の4ケツが実現ではないかと思い、嬉々として またがる。僕が一番後ろ。
不安定で危ないかなと思いきや、さすが日本製原付。びくともせず疾走する。頭の帽子が飛びそうになる。自分の原付の性能を自慢するかのようにドンドン速度を上げる。

何だかその瞬間、青春しているように感じたのであった。