インド3@ジャイサルメール

僅か一本しか持って行かなかった長ズボンは大破した。

ジャイサルメールは砂漠の街。砂漠と言えばラクダと続くもので、ここでやっているラクダサファリツアーに参加した。
今まで砂漠を嫌というほど見てきたから行かなくて良いじゃないか。そんな意見も有りそうだが、僕の見てきた砂漠とは厳密には「沙漠」である。出来の悪い学校のグラウンドみたいなものだ。僕らのイメージする、陽に染まって赤い砂の砂漠を一目見てみたかった。

行程は1泊2日。泊まる場所は砂丘の上と、まぁ中々過酷な匂いのするツアーである。

僕にあてがわれたラクダはモンキーと名づけられた、クレイジーラクダ。他のラクダはちゃんと列を為して道を行くのに、モンキーは一人外れて歩く。他のラクダは大人しくしているのに、モンキーだけは急に走ったり草をバクバク食べたりする。ツアー参加者唯一の怪しいイエローモンキーへの当てつけかのようにも思われた。

ラクダに乗って砂漠を行く。響きはとても優雅に聞こえるが、実は乗り心地が最高に悪い。背中が大きく、ビールやワインがいかにも入ってそうな樽にまたがっている感じ。安定せず、歩く度に落ちぬよう必死でしがみついている。また上下運動が激しく、股割りを毎回やっているような錯覚に陥る。背中は固く、骨がゴツゴツしている僕は一瞬にしてお尻が痛くなる。

でモンキーは坂道で突然疾走した。為すすべも無く地面に叩き付けられるバッグ。この時まではまだよかった。
ラクダが列を為して停止する。モンキーはまたしても暴走。前のラクダの棒に引っかかる僕のズボン。音を立てて割けた。

インド人ガイドは笑いながら、お前の運転が悪いからそうなったのだと言った。